【生存戦略】 新大久保の嫌韓デモとしばき隊の素朴さを乗り越えるために

2013.06.21 Friday
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    IMG_1968.JPG


    先週の日曜日に新大久保・新宿間でおこなわれた嫌韓デモが、逮捕者を数名だしたこともあり、話題になっています。僕自身はこのデモにもカウンター側にも参加はしてはいないのですが、写真と動画の撮影で正午過ぎから現場にいました。デモ側の逮捕も眼のまえで観ています。それでまあ、連日のように何度も報告を書こうとしていたのですがなかなか書きあげられずにきているのですね。思うことの全部を今書くのは無理なのですが、義務も生じてきているのでとにかくやりきろうと思います。

    まずは、twitterでの写真報告を転載します。

    意外にというかここに問題の根があるのですが、一連の嫌韓デモは文字の報道やカウンター側からの情報ではよくまわってくるにも関わらず、1次的なこうした報告はなかなかみられません。正直にいって、事前に抱いていたイメージと実際の現場とではかなりのギャップがあります。



    お読みいただけるとわかるとおり、デモ周辺とそれ以外ではかなりの温度差があります。新大久保という街自体が慣れてしまったのか、ひとびとが政治的な活動に関心がないのか、それとも、道ゆくひとをも巻きこむ戦術が両者にないのかはわかりませんが、デモ隊と沿道の野次隊から10数メートルも離れればふつうの繁華街です。正直、この日常とある種の祭りの境を何度も跨ぎこして酷い悪酔いを起こしてしまいましたね。

    そして、当の運動とカウンター行動ですが、率直にいうと、人間の素朴な野蛮さが前面にでた酷いものです。どちらが道徳的に正しいか否かを抜きにすれば、正直大差はないでしょう。もちろん、残酷なヘイトピーチにからだを張って抗議しているのだからそれで良しとする主張も理解はできますし、共感もしますが、中長期的な戦術としてはうまい方法だとは底思えないですね。主張の内容がどうあれ、「悪」とする集団と同じ手段で「善」が闘っていてはだれも自分たちを「善」だとは認めてくれません。それができなければ味方は減り、孤立し、目標を達成できなくなります。

    以下の引用は、今回の撮影に誘っていただいた美術家の神藤修治さんの書かれたFacebookの記事からです。


    今日は友人の緒方(羊谷)さん、坂田さんと一緒に新大久保のヘイトスピーチをビデオ撮影しに行きました。見た感想は、酷いの一言でした。何が酷いかといえば、デモ側もそれを批判する側も、それぞれ不満のはけ口にして騒ぎ喚いて相手を罵っているに過ぎず、そこに主義主張は何も無いということです。人間の醜い部分のみが現れていて、見ている僕の方の気が滅入り落ち込んでしまいました。

    今回はかなり大きな規模でしたが、所詮これもいずれ収束することで、それはあの原発反対デモも同じことでした。今のこの国では、ほんとうに何かを動かし変わるということは無いのだと思います。ただ、知らず知らずのうちに、望む望まないに関わらず、世の中が変わってしまうことはあるわけで、でもその時はもう手遅れなのです。ますます、現実をちゃんと見つめ、自分自身で考え選択し、それに責任を持ち生きていくことが重要だと思います。



    神藤作品2.jpg



    神藤さんがこちらで書かれている虚無感、徒労感は、僕自身も共有できるものですし、運動を観にきたり遭遇したりしたひとにこのような印象を抱かせてしまう活動というのは率直にいって失敗です。なにをめざすにせよ、目的の実現を素朴にも運に委ねているだけの内輪のお祭りにすぎません。ですから、Twitterで呟いたように、カウンター側の野次行為が過激化しないように必死で抑えていた男性や、仲良くしようぜと日韓両言語で書かれたプラカードを持ち歩いているひとたちの知的な活動こそを僕は尊敬しますし、世の多くのひとたちに知ってもらいたいと心底思います。

    (といいつつも、彼ら彼女らを写真に撮り忘れたところに僕の限界があるわけですが……)

    最後にヘイトスピーチについてですが、僕は、明確な基準を持った規制法の早急な整備を望みます。表現の自由との兼ねあいはむずかしく、これを厳格に重んじる合衆国憲法に拘束されているアメリカのように一筋縄にはいかないでしょうが、しかし、人種差別撤廃条約の第4条には、


    (a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。

    (b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。


    とあり、日本がこれを批准している以上は規制の法的根拠と義務がむしろあるといえます。ですから、明確なスピーチコードを取り決め、公布し、国全体としてあらゆる差別と闘う姿勢にあることを示し、差別に対する同じ態度をひとびとに浸透させてゆくべきでしょう。

    もちろん、スピーチコードは不当な取り締まりを防ぐためにきわめて明確なものでなくてはなりません。したがって、どんな場や媒体における何に対するいかなる表現が犯罪行為の対象となるかがあきらかである以上、その網を避けてとおることもおなじように容易でしょうし、法学者が懸念しているよう、世界に拡がるネオナチのごとくかえって組織は賢くなり、暴力的、攻撃的にもなるでしょう。が、彼らの排外運動の原動力となっている知的な盲目性による不安や不満をじぶんたちの問題としてわれわれみなが向きあうようになるための呼び水として、運動の過激化のリスクを背負ってでも、ヘイトスピーチの法規制はおこなうべきだと僕は思います。



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    Chika Hitujiya

    羊谷知嘉
    ・作家
    ・批評家
    ・文芸創作アドバイザー
    ・哲学対話コーディネーター

    緒方勇人
    ・1988年生まれ
    ・2009大学読書人大賞最優秀賞
    ・立教大学院文学研究科比較文明学専攻在籍

    批評型自動機械 CRibot
    ・1000種の批評をめざします

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